遺言書の必要性とは?作成した方がよい人の特徴や作成時の注意点

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「私は遺言書を書いた方が良いのだろうか?」このような疑問を持たれたことはないでしょうか?遺言書と言えば、資産家や家族関係が複雑なご家庭に必要なものだと思われがちです。しかし、一見、なにもトラブルになりそうにないご家庭でも相続トラブルは起こっています

そこで今回は、遺言書が無いことでどのような困ったことが起こるのかご紹介します。

遺言書が無いとどんなトラブルが起こる?

遺言書が無いとどんなトラブルが起こる?

そもそもなぜ遺言書を作成しておく必要があるのでしょうか。まずはその理由について解説していきます。

ご家族が財産の有無を把握できない

遺言書が無いと、ご家族は相続できる財産には何があり、それがどこにあるのか、手探りで探さなくてはいけません。郵便物やメール、通帳の履歴などから推測し、ひとつひとつ調査しなくてはならず、大変な手間と時間を要します。

複数の銀行にお金を預けている場合や、不動産や株式などご家族が把握していない財産がある場合は遺言書を残されたほうが良いでしょう。特に、ネットバンクやネット証券など、形のないデジタル遺産をご家族が探し出すのは困難です

財産を受け取れるのが誰か分からない

遺言書が無い場合は、「法定相続人」と言われる人達で財産を分割します。民法で財産を相続できる人の範囲と優先順位が定められています。

民法で財産を相続できる人の範囲と優先順位が定められています。

配偶者と子供が相続人になるケースが多いかと思います。しかし、前妻(夫)との間に子供がいた場合は、その子供も相続人になります。また、子供がいないご夫婦の場合は親兄弟も相続人になります。もし、親兄弟が亡くなっている場合は、祖父母、甥、姪も相続人になり得ます。

このように、思わぬ相続人が出てくる可能性がありますので、残されたご家族の生活を守るためにも「誰に財産を残したいのか」を分かるようにしておいた方が良いでしょう。

遺産分割協議を行わなくてはならない

遺言書が無い場合は遺産分割協議を行い、誰がどの割合で財産を相続するか話し合い、決めなくてはいけません。

遺産分割協議は相続人全員の合意が必要です。そのため、まずは相続人になる人を調査し、全員に連絡を取らなくてはいけません。連絡が取れない相続人や、前妻(夫)との子供を勝手に除外して行った遺産分割協議は無効になります

他の相続人と疎遠だったり、仲が悪かったりすると、連絡を取るだけで精神的にも体力的にも大きな負担になります。相続人の中に認知症の高齢者や未成年が含まれる場合は成年後見人や代理人を立てる必要があり、相続手続きが複雑になっていきます。

※遺言書がある場合は遺産分割協議を行う必要はありません。

財産の分け方でトラブルになり得る

財産の分け方を巡ってトラブルになる可能性があります。例えば、親の介護をしていたり、贈与を受けた相続人がいたりした場合に、「平等になるように、自分に財産を多く配分して欲しい」といった言い分が考えられます。

また、財産の分け方でトラブルになりやすいのが「実家の相続」です。例えば、自宅の価値が2,000万円、預貯金が200万円など、相続人同士で均等に分割しにくい財産をお持ちの場合です。

自宅を売却して相続人同士で均等に分けられればいいのですが、故人の妻や子供が今も住んでいる場合は、自宅を売却して現金化するのは難しいでしょう。思い出の詰まった実家を売却するには感情的な抵抗を感じる場合もあり、相続人同士で家の処分を巡って揉めてしまうかもしれません。

遺言書で財産をどう分割して欲しいのか、書き残しておけばトラブルを回避できるかもしれません。

借金を相続してしまう

借金もマイナスの財産として相続の対象になります。

もし、他の財産よりも借金の方が多い場合は「相続放棄」をすることで借金の相続を回避することができます。しかし、相続放棄は相続が発生したことを知ってから3ヶ月以内にしなくてはいけません。

この期限を過ぎると、自動的に相続したことになってしまいます(単純承認)。そのため、借金などのマイナスの財産がある場合は、遺言書にその事実を記載しておくことが重要です。

遺言書には財産目録を添付することができますので、プラスの財産とマイナスの財産を併せて記載しておけば、「相続する・しない」を判断する時間的な余裕を作ることができます。

遺言書はどうやって作ればいい?

遺言書はどうやって作ればいい?

遺言書にはいくつか種類があります。ここでは一般的によく利用される、自筆証書遺言と公正証書遺言の作り方について解説します。

自筆証書遺言

遺言書が自筆で書いた遺言書です。費用をかけずに手軽に作成できる反面、様式に不備があると無効になってしまうリスクがあるため注意が必要です。

自筆証書遺言の要件

  • 遺言者が全文を自筆で書く(財産目録以外)
  • 自筆で日付を記載する
  • 自筆で署名する
  • 押印する
  • 訂正する場合は訂正印を押す

書式は縦書きでも横書きでも構いません。用紙や筆記具の指定もありませんが、シャープペンシルやフリクションペンなど、文字が消える可能性があるものは避けましょう。

また、必須ではありませんが、どのような財産があるかを正確に伝えるために、財産目録も添付しておきましょう。預貯金や不動産などのプラスの財産と借金などのマイナスの財産も併せて一覧にします。自筆証書遺言の場合でも財産目録のみ、代筆やパソコンでの作成が可能です。

公正証書遺言

公証役場の公証人に作成してもらう遺言書のことです。法律のプロである公証人が遺言書の要件をチェックしてくれるため、要件の不備で遺言書が無効になるといったトラブルが基本的にありません。また、作成した遺言書は公証役場で管理されるため、紛失や偽造の心配もありません。

公正証書遺言の作成方法

①相続財産を整理する

財産の種類と金額を整理します。その上で「誰に」「何を」「どの割合で」相続させたいのかを決めます。公証人に説明しやすいように一覧表にしておくといいでしょう。

②必要書類の準備

遺言者本人の本人確認書類・印鑑証明・財産資料・戸籍謄本などが必要です。

※相続する財産の種類や相続人との続柄によって必要な書類が変わりますので、公証人と打ち合わせをしながら必要な書類を集めましょう。

③公証人との打ち合わせ

いきなり公証役場に行って、その場で遺言書を作成することはできません。相続人が財産を正確に特定できるようにしなくてはいけませんし、財産の価値を証明する書類も必要です。ある程度時間をかけて遺言書の原案を作ります。

④遺言書を作成する

遺言書の内容が確定したら、正式に遺言書を作成します。

公証人が遺言を読み上げ、遺言者が内容を確認します。内容に間違いがなければ、遺言者、公証人、証人2名が遺言書に署名捺印して完成です。

※この時の証人2名は、ご自身で指定することもできますし、公証人役場で手配してもらうことも可能です。

遺言書はどこに保管すればいい?

遺言書はどこに保管すればいい?

遺言書を作ったものの、相続人が見つけられなくては意味がありません。

自筆証書遺言の保管方法

ご自宅や貸金庫など、ご自身で管理する方法もありますが、遺言書を法務局に預けることができます。この方法なら、紛失、改ざん、隠匿の心配がありません。

遺言者の本籍地もしくは、所有する不動産の所在地を管轄する法務局へ申請することで、遺言書を保管してもらえます。この方法なら、遺言者が亡くなった後に、全国どこの法務局からでも遺言書の有無を検索できるため、相続人が遺言書を見つけやすいというメリットがあります。

※ご自宅で遺言書を見つけても勝手に開封してはいけません。家庭裁判所で検認という手続きをしなくてはいけません。もし、検認を受ける前に遺言書を開封してしまうと、5万円以下の過料が科せられます。

公正証書遺言の保管方法

公正証書遺言は公証役場で保管されています。どこの公証役場からでも、遺言書がどこの公証役場で保管されているか検索できますので、相続人が遺言書を見つけやすいというメリットがあります。

遺言書があることは知らせておいた方が良い

遺言書を法務局や公証役場に預けておけば探しやすいのですが、ご家族に「遺言書が存在する」ことは知らせておいた方が良いでしょう。法務局や公証役場が遺言書を預かってくれることを知らない方も多いため、相続人もどこを探せばいいか分からず、遺言書を見つけてもらえない可能性があります。

遺言書の作成はプロの法律家にご相談下さい。

自筆証書遺言の場合は要件不備で無効になってしまう可能性があります。例えば作成日が自署されていない、印鑑の印影が不鮮明などの些細なミスでも無効になり得ます。

公正証書遺言であれば、公証人が作成しますので遺言書が無効になってしまうリスクを避けられますので、公正証書遺言を作成される方が安心です。

ただし、公証人も「相続トラブルを避けられるか」というところまではチェックできませんので、遺言書の作成に不安がある場合は、アヴァンス法務事務所におまかせ下さい。

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